民泊を育てるためのルールを整えよう

2018年6月19日 - 未分類

一般住宅に旅行者などを有料で泊める民泊のルールを定めた住宅宿泊事業法(民泊新法)が、施行された。今のところ自治体への営業届け出は低調だ。新市場の育成という趣旨に立ち返り、使いやすく、透明性の高い仕組みづくりに今後も取り組みたい。

新法施行後には登録のない物件は紹介しないよう、観光庁は仲介業者に求めてきた。今月に入り、すでに受けた予約も取り消すか合法物件を紹介し直すよう通知を出した。営業日数などで独自の規制を定めた自治体も多い。

今年2月時点で、米仲介大手エアビーアンドビーが紹介していた物件だけでも、国内の民泊施設は6万を超えていた。しかし準備期間の短さや手続きの煩雑さなどから、自治体への営業届け出は全国で数千件にとどまっている。物件数の急減と予約取り消しは旅行者を混乱させている。

エアビーが日本で事業を始めて4年たつ。国が迅速にルールづくりに取り組んでいれば今の混乱は防げたかもしれない。すでに大勢の人が利用する現状を踏まえるなら、激変緩和のため移行期間を設ける手もあったのではないか。

人口減で空き家が増える中、民泊は地域に活力を呼び込む有力な手立てだ。今後は運営の状況などを点検しつつ、過剰な規制は早めに緩和・撤廃していきたい。

手続きの厳しさや自治体の独自規制の背景には、民泊に対する地域住民の不安がうかがえる。民泊の全体像がつかめないまま、迷惑行為などの断片的な情報や個別の体験から、一般の人々が民泊サービス全体への不安や不信感を膨らませている面がある。

エアビー社は時々の登録物件数を公表しておらず、民泊というサービス全体のわかりにくさにつながっている。民泊が地域社会に与える影響は大きい。今後は仲介会社が集まり、国とも協力し、物件数の推移やトラブルの対処例などをこまめに公表してはどうか。

民泊の利益が部屋の所有者や関連企業にとどまっている点も地域との溝を生んでいる。地域や集合住宅の全体に利益が還元されるようにすれば、マイナス面と天びんにかけたうえで容認する人が増えるかもしれない。

ビジネスがもたらす負の面もきちんと認め、解決策とともに情報を公開していくことが、長い目で見れば社会の信頼を築く。よりよいルールへ工夫を重ねたい。
(引用:日本経済新聞 社説)

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