【京王・東武】民泊参入

2018年8月16日 - 未分類

私鉄各社は今、訪日外国人観光客のインバウンド需要に熱い視線を送っている。

沿線に世界遺産の「日光」がある東武、「京都」「奈良」がある阪急や京阪や近鉄、「高野山」がある南海、「姫路城」がある山陽電鉄や、「富士山」を一望できる箱根がある小田急だけでなく、沿線に世界的な観光地がない京王も東京都内で「特区民泊」に進出するなど、訪日外国人をターゲットに、さまざまな事業戦略を打ち出している。

なぜなら、インバウンド需要は2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、その増加のペースは衰え知らずだからである。

日本政府観光局(JNTO)の統計によると、東日本大震災が起きた2011年に621.8万人で底を打った後は6年連続で増加し、2017年は2869.1万人で6年前の4.61倍になった。平均すると年20%前後の増加率を維持している。2018年に入ってからも各月の前年同月比増加率は1月以外は2ケタの伸びが続いており、2018年通年の3000万人超えはほぼ確実な情勢になっている。

インバウンド対応といえば、世界的な観光地に向かう特急列車の車両やサービスをグレードアップしたり、駅の案内表示や駅員が英語や中国語など多言語に対応したり、国内の旅行代理店に訪日客の送客を働きかけるといったことは、どこの私鉄でも以前からやっている。それに加えてここ数年で目立ってきたのは「自ら積極的に海外に出て行き、沿線の観光地や車両の快適性をPRし、集客する」という動きである。

京王はその沿線に、世界遺産や温泉地など黙っていても訪日外国人がやってくるような観光地がない。東京競馬場に来るのは競馬ファンだけ。来日前から「高尾山」を知っている訪日客は、よほどの日本マニアだろう。典型的な通勤電車で距離も短いので、東武や小田急のような座席指定の特急列車もない(「京王ライナー」は下りの通勤客用のみ)。

そこで京王がとったインバウンド戦略は「民泊」への参入だった。ベンチャー企業の百戦錬磨(本社・仙台市)と提携し「KARIO」ブランドで民泊施設の運営を行っている。昨年2月にオープンした1棟まるごと民泊マンション「KARIO KAMATA」は、京王沿線から遠く離れた東京都大田区、京急で羽田空港と直結した京急蒲田駅近くにあり、大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の「特区民泊」である。
民泊といえば6月に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)の規制が非常に厳しく事業予定者の間であきらめムードが漂っているが、大田区、大阪市など地域を限定した「特区民泊」は旅館業法の特例扱いで民泊新法の規制を受けない。民泊新法でライバルが撤退していく中、インバウンド需要を取り込んでの発展が望める。

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